【News】日銀金融政策決定会合を受けて今後の住宅ローン金利に関するスペシャルレポート

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AssetCafe編集部

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フィンテックを活用した住宅ローンコンサルティングサービス「モゲチェック・プラザ」を展開するMFSは、7月30日及び31日に行われた日銀金融政策決定会合を受け、今後の住宅ローン金利に関するスペシャルレポートを発表した。
  •  ハイライト

・本日の日銀金融政策決定会合を受けて、10年固定特約型やフラット35の金利は今後年末にかけて変動幅が大きくなると共にやや上昇基調で推移する見込み

・少子高齢化により物価上昇の動きは鈍く、金融緩和政策は継続されるため、今後10年以内に変動金利型の住宅ローン金利が今より1%以上上昇する可能性は非常に低い

7月31日、日銀金融政策決定会合を経て日銀は、当面現状の金融緩和政策を継続するものの長期緩和の「副作用」に配慮し、0%程度に誘導していた長期金利を約1年10ヶ月ぶりに変動幅を広げて金利上昇を容認するスタンスに変更した。ただ、同時に物価上昇見通しを引き下げ今後も金融緩和を継続する姿勢を表明したこともあり、1年半ぶりに0.11%まで上昇していた10年国債利回りはやや低下している。この状況を踏まえて今後住宅ローン金利はどうなるのか、特に変動金利型の住宅ローン金利の今後の見通しについてMFSの考えをレポートする。

  •  住宅ローン金利の推移

MFSで作成している各金融機関セクター・金利タイプ別金利インデックスの過去1年間の推移は、以下の通り。変動金利は引き続き低下傾向、固定金利は多少上下しながらほぼ1年前の水準に戻っています。

  •  短期的見通し

今回の日銀金融政策決定会合を受けて上昇基調にあった10年国債利回りは一旦低下しているが、それでも前月初より0.05%程度高い水準にある。これにより8月1日に各金融機関より発表される8月の10年固定特約型の住宅ローン金利は0.05%〜0.1%程度上昇すると思われる。全期間固定金利であるフラット35は、その基となる住宅金融支援機構債券の発行が既に完了しているため、8月は7月と変わらない金利水準になるものの、その後年末にかけて10年固定特約型と同様、長期金利上昇の影響を受けて上昇基調で推移するものと想定される。一方で、長期金利の動きに直接影響を受けない変動金利型の住宅ローン金利は、前月と変わらない水準になることが予想される。

  • 長期的見通し

今回の金融政策決定会合では、物価見通しが下方修正された。従って今後も金融緩和政策は継続される。MFSでは、変動金利型の住宅ローン金利が今後10年以内に今より1%以上上昇する可能性は非常に低い、と考えている。雇用情勢や企業業績といった周辺環境が整っているにもかかわらず目標となる2%の物価上昇率が達成できない理由に構造的な要因があるのではと指摘されているが、その構造的要因とはまさに現在日本で進行中の少子高齢化だと考えている。労働人口が急速に減少する国で金融政策だけで2%の物価上昇率を誘発するほどの需要喚起はできないのではないか。目標とする物価上昇率の達成は2020年以降となる見通しで、それができなければ日銀は現在の緩和姿勢をさらに継続せざるを得ず、結果として住宅ローン金利の上昇も起こらない。

  • 住宅ローンの金利構造

民間金融機関が提供する住宅ローンは変動金利が基本である。これは民間金融機関の調達資金の大部分が預金を中心とする短期資金であるためである。これに一定期間固定金利にする特約を付けたものが固定金利特約型という金利タイプで、これも特約期間が終了すると原則変動金利になる。変動金利型の住宅ローン金利は、短期プライムレート(以下短プラ)に1%を加えた住宅ローン基準金利から引き下げ幅を控除して決定される。現在主要金融機関の短プラは1.475%なので、住宅ローン基準金利は2.475%となり、ここから引き下げ幅を控除して0.5%程度の金利が現在の変動金利型の住宅ローン金利となっている。このように変動金利型の住宅ローン金利は短プラに連動しているわけだが、短プラ自体は過去20年に渡ってほとんど変化していない。この間住宅ローン金利が継続的に低下してきたのは、引き下げ幅が拡大されてきたからである。

今後住宅ローン金利が上昇する場合、引き下げ幅の縮小と短プラの引き上げの二つの可能性がある。引き下げ幅の縮小は単に新しく貸し出される住宅ローンの金利が上がるだけで、現在返済中の住宅ローン金利には影響がない。一方、短プラの引き上げは、返済中のものも含めて変動金利型の住宅ローン全体の金利が押し上げられるため、影響が広範囲に及ぶ。ただ、大きな下方硬直性のあった短プラが上昇に転じるには、まずは目標とする2%の物価上昇率が達成され、さらにインフレ沈静化のために日銀が本格的な金融引き締めに入り、民間金融機関の資金調達コストが上がる必要がある。現在の環境下でそのような状況が起こる可能性は非常に低いと言わざるを得ない。

  •  金利タイプの選択

現在住宅ローン金利は変動で0.5%程度、全期間固定で1.35%程度となっており、その差は1%もない。このような環境で住宅ローン利用者はどの金利タイプを選ぶべきだろうか。

MFSは、金利タイプの選択は住宅ローン利用者のリスク許容度をベースに決定すべきだと考えている。リスク許容度とは、今後金利が1%上昇した場合に家計に占める住宅ローン返済額の割合がどうなるか、である。これが3割を超えるようだとリスク許容度が低いと考えられ、将来金利上昇によって住宅ローンの支払いに支障をきたす可能性がある。従ってこのような人は将来とも金利が変わらない固定金利を選ぶべきである。逆に金利が1%上昇しても住宅ローン返済額が家計の3割以下に収まる方はリスク許容度が高いと言え、変動金利を選択していいのではと考える。

縮小しているとはいえ変動と全期間固定の0.85%の金利差は元本30百万円の住宅ローンで年間約25万円、月額にして約2万円のコストになる。現在の少子高齢化という構造的な問題を抱える日本で金利上昇リスクが相当程度低いことを考えるとそのコストは決して安くない。また、変動金利型の住宅ローン利用者は、本格的な金利上昇の前に、固定金利型に金利タイプを変更する、固定金利型に借り換える、繰り上げ返済で早く返してしまうといった手段で金利リスクを排除することも可能なのである。

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