【News】デロイトトーマツグループが金融業界向けAIレポートを発行

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AssetCafe編集部

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デロイト トーマツ グループは、人工知能(AI)が金融業界に及ぼす影響を考察したレポート「金融サービスの新しいフィジックス-人工知能(AI)が起こす金融エコシステムのトランスフォーメーション」を、2018年12月7日に発行した。本レポートは、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)とデロイトの共同研究に基づくデロイトの報告書(原題: “The new physics of financial services | How artificial intelligence is transforming the financial ecosystem”)の日本語版である。AIの影響を、「価値創造」、「オペレーティングモデル」、「競争」、「公共政策」の4つの観点、計8つの考察として掲げている。

本レポートでは、AIの導入により、金融機関の顧客獲得・維持方法が急速に変わる中で、フロントおよびバックオフィスでのオペレーションが根本的に変化すると共に、金融市場における成功要因や競争原理も大きく転換し、さらに、格差や倫理といった面において様々な社会的な課題が浮き彫りになることが指摘されている。以下にその骨子を紹介する。

<価値創造>
1.顧客ロイヤリティ獲得の新たな方策

価格やスピード、アクセスといった従来の差別化要素が薄れる中、金融機関は顧客への提供価値で勝負することになる。新しい方策として、AIを大胆に活用し、固有の金融ニーズに対応するパーソナルカスタマイゼーションなどを通じた継続的なベネフィットの提供(例:異業種と連携し、顧客データを基に最適な商品・サービスや融資の提供)などが重要性を増している。また、アドバイスの高度化や、ワンストップのソリューションの提供で差別化を図る動きがさらに加速する。金融機関以外のプレーヤーとの競合もより一層顕在化すると予想される。

2.セルフドライビング・ファイナンス(金融の自律的な運用)
AIは、日常的な取引の自動化や複雑な意思決定に関わるアドバイスが提供できる。さらに、日々の金融取引管理において、顧客の意思決定を介さずに、AIが最善の業者・商品を判断、取引を実行・完了すること、すなわち金融の自律的な運用が可能である。データの集積が進み、AIの能力が高まることで、さらなる自動化・より複雑なアドバイスの提供ができ、自律的な運用が加速していく。

<オペレーティングモデル>
3.コストセンターからプロフィットセンターへ

AIはバックオフィス機能の一部を事業化できるほど大きく進化する可能性がある。自社の最先端の機能を他社へサービスとして展開してデータを収集することで、他が追随できないスピードで継続的にオペレーションを改善し、持続的な収益源となる。膨大な質の高いデータを集めることが競争優位につながるため、先行して取り組むことが優位に働く傾向が顕著になる。

4.人材に係る課題の解決
AIの導入により、新たな仕事が生み出されるより早いスピードで既存の仕事が失われていく可能性がある。一方で、全く新しい人材が必要となっていく。最適な人材ポートフォリオの構築は、変革のスピードに多大な影響を与える課題である。経営者は人材戦略を競争上の優先事項ととらえ、AIの普及がもたらす新しい競争環境に適応した組織構造や人材管理手法を構築する必要がある。

<競争>
5.市場構造の二極化

AIは、ローンや保険など価格に左右される金融商品については、顧客を積極的に低コストの業者へ向かわせ、コスト以外のニーズのある顧客には、最適化のアルゴリズムによって最もニーズにあうニッチな商品を探しあてる。これにより、金融市場の構造は大規模なプレイヤーとイノベーションを迅速に起こすニッチなプレイヤーの二極に集約され、その中間に位置する中規模金融機関は厳しい勝負を強いられる。資産の集中化が進むため、金融当局は対応を迫られるでしょう。新規参入の規制障壁を緩和する圧力も高まるだろう。

6.データ連携に対する懸念
より高度なAIの活用に必要とされるデータの質と量を確保する上で、他社とのデータ連携が有効な選択肢の1つと考えられる。しかし、データ連携は、そのパートナーの間に勝ち組と負け組を生むリスクをはらんでいる。連携から生じる緊張状態を緩和しながら、適切なデータ連携を構築することが肝要となる。

<公共政策-Public Policy>
7.共通課題に対する共同の解決法
金融システムにおける課題の中には、AIを活用した共同ツールによって解決できる可能性があるものがある。 金融システムの安全性・信頼性に関わるプロセスなど、非競合領域に関わる活動については業界全体で解決策を共同化するメリットが大きいと言えるだろう。

8.規制と倫理のジレンマ
各国政府が国民を保護し、国民の権利を明確にするための新しいルールを模索する中、グローバルのデータ規制はかつてない変化を遂げている。クラウドベースのサービスの活用、個人データの活用、金融データへのアクセスといったデータの利活用に係るルール形成は、AIの発展に多くの点で影響するだろう。また、AIは、金融システムの安全性、経済成長、消費者保護等の事柄に大きく影響する可能性があるため、その導入により得られる便益とリスクについて、経済や社会の健全なあり方を踏まえて考慮する必要がある。

本レポートではそれぞれの考察についての詳細、事例、検討すべき事項を紹介している。

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