【インタビュー】悪徳商法ルポライター:多田文明さん「逃げ得は絶対に許さない」

アセットカフェです。今月からスタートしたインタビュー取材、第二回は、悪徳商法ルポライターの多田文明先生にご登場いただき、キャッチセールス、詐欺、そして悪質商法に関する最近の傾向などをお聞きしました。多田先生は6/24に開催される、みんなのクレジット被害者の会シンポジウムにも登壇していただく予定です。

自らもマインドコントロールを受けて

アセットカフェ
アセットカフェ、取材記者の水野です、本日はよろしくお願いいたします。

多田文明先生
はい、こちらこそ、よろしくお願いいたします。

アセットカフェ
多田先生が最初に詐欺事件と関わりを持たれたのは、いつのことですか?

多田文明先生
最初は学生時代、霊感商法をする団体に関わったことが始まりでした。私は東北の田舎から、詐欺などへの免疫がないまま、東京の大学に進学してきたのですが、一番大きかったのは大学4年のとき。就職に悩んでいた時、知人から「自己啓発のサークルで勉強してみないか?就職で有利になるよ」と誘われて入会してみた。しかしここはカルト団体が正体を隠して運営していたところだった。ひどいのは、カルトであることを知せずに、勉強をさせられ続けたものだから、すっかりとマインドコントロールされてしまった。その後で、実はここは〇〇団体ですというのですよ。もはや心が教義でがんじがらめになっていて、もはや抜けられない状況になっている。まさに後出しじゃんけんの手口でダマされた。それが最初のきっかけでした。

アセットカフェ
ご自身が被害に遭われたのがきっかけだったんですね。

多田文明先生
そうですね。その団体からはその後、脱会して、裁判を起こして最高裁まで行ったので、民事裁判には詳しいですよ(笑)。当時の霊感商法は、今とは違って、警察に訴えても全然、相手にされなかったんです。その頃は、マインドコントロールなどという言葉も知られておらず「騙される方が悪いんでしょ」みたいな風潮でしたしね。今回の「みんなのクレジット」の件もそうですが、何で騙されたのかが見えにくく、一般に被害が認知されていない、という点では共通しているように思います。

アセットカフェ
自ら潜入取材も行われているとお聞きしました。

多田文明先生
はい。その後ライターになりまして、ライターの仕事の一環として悪徳商法などに潜入取材してきました。彼らがどう言ってくるのか、どう騙してくるのか、ということに詳しくなりましたね。やはり(騙された)当事者にならないとわからないものがありますから。振り込め詐欺などの手口もそうですが、被害者目線にならなければ、見えてこないものがある。以前はキャッチセールス評論家と名乗っていました。というのも、英会話の勉強などの街頭のキャッチセールスや電話勧誘が横行していた時代だったものですから。今から20年以上前のことですが。

数々の詐欺事件を見て

アセットカフェ
特に印象に残っている詐欺事件はありますか?

多田文明先生
これまで詐欺事件を見てきて思うのは、「時代によって手口が変わる」ということです。キャッチセールスや電話勧誘が全盛の時代から、近年ではネットを入り口として騙すケースが増えてきました。特に印象に残っているのは、デート商法に潜入したことです。異性が電話をかけてきて、デート感覚で宝石の販売店に誘い出し、結婚を匂わせながら、宝石を買わせるという手口です。ところが今は、SNSを使って友達になった上で、「あなたに興味がある」といって誘い出し、同様な手口でモノを売りつける、とかね。2009年には、デート商法で必ず利益が出るというFXの自動売買ソフトを売りつける、という事件がありました。あとは、デートを繰り返して男性が結婚を匂わせて、資産運用のためのマンションを購入をさせるとか。このケースの巧妙な点は、出会った男性は勧誘しないんですよ。その男性がマンション販売会社の人を紹介して、その人物から勧誘させて、契約させる形を取る。最近では仮想通貨詐欺もありますね。ネットの宣伝文句に誘われて儲かると思って入金したら、いつの間にかそのサイトがなくなっていた、とか。最近は簡単にネット上から投資ができるので、どこの会社がサイトを運営して、そこにはどんな宣伝文句があったのか、そして、いくら送金したかという画面上の証拠をキャプチャーなどで残しておかないと、解決は難しいですね。

アセットカフェ
ところで、詐欺に遭いやすい人の特徴ってありますか?

多田文明先生
詐欺に遭いやすい人って、騙されているのに気づかないために、2度3度やられちゃうことが多いです。騙されたときに「少額だからいいや」と思って放っておくと、名簿などが流出して再び騙しの手が伸びてくる。きちんと「なんで、騙されたのか?」と、自己分析をおかないといけない。過去の被害を曖昧にしちゃダメだと思います。ネット通販で金を払ったけど、品物が送られてこなかった。そこで「ま、いいや」で終わらせている人は多くありませんか?という話なんですよ。
それに、騙されやすい人は、あまり疑問を持たないで、先に進む傾向がある。もしくは、疑問は持つんだけど、その疑問に回答が与えられて、ひっくり返されちゃうとすぐに信用しちゃう人も危険です。詐欺師って、当然、相手が疑問を持つことがわかっていますから、その対策を準備しています。くれぐれも、1回の疑問をひっくりかえされて「大丈夫だ」とすぐ信じるのはダメ。騙されないためには、2度以上の疑問を持たないといけません。もちろん、人として生きていく上では、相手の意見を素直に受け入れることも必要でしょう。けれど「お金を出す」という行為に関しては、もっと慎重になるべきだし、相手を2度以上は疑ってかかっても良いと思いますよ。

詐欺師は抜け穴を狙うことに長けている


アセットカフェ
逆に、詐欺加害者側の特徴はありますか?

多田文明先生
詐欺師は、法律をよく知っていて、その抜け穴を狙うことに長けている連中が多いですね。また往々にして「あなたも儲かるし、私も儲かる」とWin-winの関係であることを装ってくるんですよ。マルチ商法もそうですよね。儲けあいましょうと、騙してくるわけです・・。今は何でもネット検索で調べる人も多いでしょうが、ネットだけでは不十分です。ネットの次は、利害関係のない第三者に聞いてみること。詳しい専門家に聞くとか。

アセットカフェ
「自分の周りに詳しい専門家がいない」という人は、誰に聞けばいいんでしょうか?

多田文明先生
消費者センターなどに聞いてみるといいですよ。センターには「こういうところに投資したけど、大丈夫でしょうか?」という相談も多いですよ。それに対して、センターは「その会社が良いとか、悪い」とかは言いませんが、私たちが判断する当たって参考になるような「過去にはこういう事例がありました」「こういうことに注意した方がいいですよ」といったアドバイスをもらえるので、一人で悩むよりずっと良いです。かしこまらないで気軽な気持ちで窓口に行けばいいし、あるいは電話相談でもいいですよ。

アセットカフェ分科会で伝えたいこと

アセットカフェ
最後に、6/24のアセットカフェ分科会ではどのようなお話をされる予定ですか?

多田文明先生
私自身、これまで裁判で、原告、証人などの立場で関わってきたので、事件に対してどう向き合っていけばよいのかについては、詳しいです。今回は「被害者はどうやって弁護士に情報発信して、相談や意見を求めていけば、良いのか?」「どのようなスタンスで悪徳業者に向き合い、戦っていけば良いのか?」について説明し、そして「絶対に逃げ得は許さない」という話をしていきます。一人でも多くの皆さんに聞いていただきたいので、ぜひ会場にお越しください。

アセットカフェ
今日もお時間をいただきありがとうございました。

多田文明先生
こちらこそありがとうございました。


プロフィール

多田文明 (ただふみあき)
ルポライター、キャッチセス評論家 詐欺・ 悪質商法 に詳しいジャーナリスト (評論家)
現在、消費者庁「 現在、消費者庁「 現在、消費者庁「 若者の消費被害心理的要因から分析に係る検討会 」の 委員を務めている。「サギ師が使う 人の心を操る「ものの言い方」 (イースト新書Q) 」の著者。

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