【コラム】司法書士物語 第六話 「原野商法の詐欺話(2)」堀内信大

The following two tabs change content below.
司法書士 堀内信大

司法書士 堀内信大

認定司法書士。港北司法書士事務所の事業者。認定番号 第943031号。債務整理、債権回収、不動産登記及び商業登記など幅広い分野に精通する。近年は高齢者による後見、相続、遺言に関する相談が急増しており、日々の大半を遺産分割協議など遺産相続に関する対応に注力している。 ホームページ: http://horiuchi-js-office.com

認定司法書士の堀内信大です。日々の生活や会社経営にかかわる様々な出来事に関わる司法書士の仕事を、コラムというかたちを通じてお伝えしていこうと思います。今回のテーマは、原野商法の詐欺話(2)について。

原野商法(2)話

㈱内藤建設(年商1億5,000万円、平成7年設立)の内藤社長は、友人でもあった『崎田開発㈱』の崎田社長から、詐欺的手段で北海道の阿寒湖周辺土地500坪を250万円で購入させられ、いずれ買い戻すという約束も反故同然にされてそのまま泣き寝入りしていたのだが、先頃、『東洋住宅㈱』という会社がこのクズ同然の土地の売却を持ちかけてきた。
内藤社長は、(俺の個人貯金から250万円も出してるんだ、せめて100万円でも戻ってくるんなら…)と思い、同社の担当者を呼ぶことにした。翌日、㈱内藤建設にやってきたのは、紺の背広をきた50歳前後の男性。彼は、『東洋住宅㈱ 営業主任 山崎進』という名刺を差し出した。

「ウチの会社は、北海道の土地販売ではかなり実績を築いていまして、今回、内藤さんだけではなく、阿寒湖周辺に土地を所有していらっしゃるたくさんの方々にお声をお掛け致しております。」

内藤社長は、その山崎なる人物の話にしばらくの間耳を傾けていた。そして、その物腰と話の内よ容から、当初抱いていたかすかな疑いはすっかり消え去っていた。

「あのーそれで、東洋住宅さんは、私が所有している阿寒湖周辺の土地をどんな方法で売却されるんですか?」
「まず、この付近一帯の土地所有者の了解をとります。まぁ、現時点でも7割近くの地主さんから取ってるんですがね。」
「全部の地主の賛同を得るなんて出来ますかね?」
「いや、それは無理だと思います。私以外の弊社の当物件の担当社員の話では、地主さんの中にはこのまま所有しておきたい、とか、とにかく売却を東洋住宅に任せる気持ちはない、なんて仰られる方もおられるようですし・・・」

内藤社長は、良いことばかりではなく、どちらかというと東洋住宅側にとっては不利な情報でも正直に伝える言い方に増々好感を覚えた。
「実のところ私も迷っています。」
「そりゃそうですよね。」
「それで、売却するとしたら幾らぐらいになりそうですか?」
「これはハッキリしていますよ。」
「え!そうなんですか!」
「はい。一応、坪1万5千円と考えています。この場合の弊社の販売手数料は10%です。そして、もし、この価格で売れなかった場合は、弊社が1万円で買い取り、この際の販売手数料は5%だけです。」

(これは、いい話だ!!)

内藤社長は、努めて顔に出ないように気をつけたが、口元が緩んでくるのはどうしようも無かった。諦めていた250万円の土地を、うまくいけば750万円で売ることが出来る。販売手数料を差し引いても675万円となり、425万円の儲けがでるのだ。

「だめな時でも御社の方で買い取って頂けるんですね?」
「まず、坪1万5千円で売れないことはないと思いますが、万が一、売れなかった時はそうさせて頂きます。」
「では、お願いするかな。」

もし、売れなかった時でも東洋住宅が500万円で買い取ってくれる。この際の販売手数料は5%だから25万円で、この場合でも225万円の儲けを確保出来ているわけだ。

「では、弊社にお任せ頂きますね?」
「よろしくお願いします。」
「そうしましたら、まず所有土地の測量をしなければなりません。きちんと境界石を入れ、土地の位置と場所を確定しなければ買主はお金を払わないのです。この測量には40万円の費用がかりります。」

(なんだ、そんな事かぁ・・・)と内藤社長は内心がっかりしたがやはりお願いすることにした。

何故なら、このクズ同然の土地代金250万円は高い勉強代と思って完全に諦めていたのだ。測量代が40万円であっても売ってもらえば儲かるのだ。

「では、40万円の測量費用を頂けますか?」

その時、一瞬、内藤社長の脳裏に不安がよぎった。今日会ったばかりの人物に40万円の現金を預けることに躊躇いを感じたのである。そして、彼は、日頃から懇意にしている『佐賀司法書士』を顔を思い浮かべたのだ。内藤社長は、“即金でお願いします”、と粘る業者を懸命に説得して帰し、直ぐさま、佐賀司法書士事務所に向かったのである。

ワンポイントアドバイス

堀内信大先生
※これは、最近現実に起こった詐欺未遂事件です。当事者が顧問にしていた司法書士は、この相談を受けるとすぐに詐欺と見抜きました。何故なら、不動産の手数料は売買価格が400万円を超えた場合、3%+6万円+消費税が上限になるのです。そして、提携している調査会社にこの会社を調べさせた所、原野商法の被害者に転売を持ち掛け測量代を詐取する詐欺師集団と判明したのです。

佐賀司法書士事件簿は『株式会社日本データシステム』よりご協力を頂いています。企業調査はこちらをお勧めいたしております。
http://nds2700.server-shared.com/

関連記事

コメントは利用できません。

ページ上部へ戻る