【コラム】司法書士物語 第十話 「レンタル業者からの依頼」堀内信大

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司法書士 堀内信大

司法書士 堀内信大

認定司法書士。港北司法書士事務所の事業者。認定番号 第943031号。債務整理、債権回収、不動産登記及び商業登記など幅広い分野に精通する。近年は高齢者による後見、相続、遺言に関する相談が急増しており、日々の大半を遺産分割協議など遺産相続に関する対応に注力している。 ホームページ: http://horiuchi-js-office.com

認定司法書士の堀内信大です。日々の生活や会社経営にかかわる様々な出来事に関わる司法書士の仕事を、コラムというかたちを通じてお伝えしていこうと思います。今回のテーマは、レンタル業者からの依頼について。

レンタル業者からの依頼

ペットブームという言葉が使われてから久しい。公的機関の調査では、無差別に選んだ調査対象者1万人中36.6%の人が「ペットを飼っている」と答えた。つまり、3人に1人が飼っているということになる。以前のデータを見ても、この比率は昭和54年以来ほぼ変化していない。

東京エアーレンタル㈱(資本金1,000万円、設立・・・平成24年4月、代表・・・大瀧平輔氏、社員10名)は、ペットの在宅ケアのための酸素濃縮器レンタル業者である。代表・大瀧平輔氏は、生家でペットを飼っていた経験から、大の犬好きで、何度もその死に遭遇していた。

“せめて、最後は自宅で看取りたい、と愛犬家なら誰でも思うはずだ”と確信し、5年前、20年勤務していた広告代理店を退職して当社を創設した。

機器のレンタルについては免許証と住民票を提出して貰い、メンテも24時間対応で社長自ら陣頭指揮を執っている。ここ1年くらい、レンタル料金の未払い会員が増加。2ヶ月連続の滞納についいては、機器を引き揚げ支払い完了までは再レンタルを認めず、3回の滞納処分発生会員については強制退会となっているのだが、機器そのものを持ったまま移転し行方不明となった案件が多発。

現時点で2件程度がお手上げ状態だった。

弁護士事務所に依頼したのだが、ハガキを出すだけで何の効果もなかった。そして、困り果てていたところ、知人より佐賀司法書士事務所を紹介されたのである。その日は、生憎、所長が留守だったので、高広和之司法書士が担当した。依頼件数は件。1件目・・・板橋区小茂根のアパート在住。音大の女子学生。アパートの大家に尋ねても女性の移転先は分らなかった。 警戒して教えてくれないのかも知れない。

だが、ベテラン補助者佐々藤は難無く、女性の実家を調べ、まずはハガキで機器返還のお願いを法務事務所として連絡。スグサマ、実家の母親と名の乗る人物から恐縮の電話。約束通り、レンタル料と延滞金は翌日振り込まれ、5日後、運送会社からから宅配荷物が届いた。中身は酸素濃縮器だったのは言うまでもない。

2件目・・・稲城市若葉台の団地に10年在住の40代の夫婦(個人で軽トラック宅配業)。2ヶ月の滞納後、連絡不能となった。事務所代表電話も携帯電話も不通。早速、高広と佐々藤が現地に出向き、部屋の隣近所から情報収集した。それによると、取立と思われる業者が何人もやってきていたとのことで、誰もが些かウンザリしていてあんまり有効な情報は得られなかったが、とにかく、事業不振で夜逃げしたことは確実となった。

そこで、高広は職権で住民票を取り、色々と辿って奥さんの方の実家を調べ上げた。高広が調べた実家は埼玉県の鶴ヶ島市。佐々藤が訪問した。70歳くらいの老人夫婦の二人住まいだった。まず、佐々藤は、司法書士補助者の身分証明を提示した。
「娘さんの事で参りました。このままいけば、事件となってしまいますし、私共法務事務所としましては、穏便に事態を収拾したいと思い、ご迷惑でしょうが直接お伺い致しました。」

丁寧に事情を話して、あくまで穏やかに協力を申し出た。

数日後、老人夫婦は機器の定価・20万円とレんンタル料7万円+延滞料5万円=32万円を振り込んできた。さらに、きれいな毛筆で書かれた詫び状が送られてきたが、肝心の当事者からの連絡は無く、親が世間体と娘の身を心配して処理してくれたのだと推測し、高広と佐々藤は思わず顔を見合わせて嘆息した。

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