【コラム】不動産投資 第四話「費用負担」鶴間正二郎

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鶴間 正二郎

1965年生まれ。宅地建物取引士。自動車業界で7年、不動産で19年の実務ののちライターとして活動。経験者だからわかる不動産の深い話をテーマに記事を投稿しています。趣味は御朱印集め。柔道弐段。

こんにちは、宅地建物取引士かつライターの鶴間正二郎です。不動産業界で19年間務めていたこともあり、裏も表も知り尽くしています。コラムでは、経験者だからわかる不動産の深い話をテーマとした記事を書いていきます。今回のテーマは、費用負担について。

■借主と貸主の費用負担を定めた「東京ルール」って何だ?

お部屋の退去時には原状回復を行って再募集をかけますが、この時発生した費用が敷金から差し引かれると思っている方は多いと思います。しかし原状回復費用に関しては行政によりガイドラインが定められ、実際には入居者側からほとんど取れなくなっているのが最近の流れです。今回は不動産業界で「東京ルール」と呼ばれている条例を通じ、賃貸住宅で発生する様々な費用負担についてご説明します。

◆「東京ルール」とは何か

東京ルールとは、正確には東京都都市整備局によって制定された「賃貸住宅紛争防止条例(東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例)」のことで、入居中の修繕と退去時の原状回復についてのガイドラインを設けています。

国土交通省から出された指針に基づいて東京都が制定したものですが、現在では他の自治体もこれに則っているようです。

◆ポイントの一つは原状回復時の費用負担

通常部屋を退去する際は「解約立会い」を行い、原状回復の費用負担割合を決定します。それに対する東京ルールの基本的な考え方としては、「借主は故意・過失・善管注意義務違反・その他通常の使用を超えるような使用による損耗等を復旧する」と定めています。

具体的には経年劣化・自然損耗・通常の使用による住宅の損耗等の復旧は貸主の費用負担で行い、借主は費用を負担しないものとされています。例えば壁に貼ったポスターや絵画の跡、日照などの自然現象によるクロスの変色、テレビ・冷蔵庫の背面の電気ヤケは貸主負担です。

一方で借主の責めに帰すべき事由による損耗は借主負担です。タバコによるヤニ汚れや結露を放置したことによるカビやシミが該当します。

また貸主と借主は両者の合意により上記の原則と異なる特約を定めることができるとされ、室内クリーニングや和室の畳、襖、戸襖の張替費用を借主負担とする場合があります。

◆もう一つのポイントは設備の修繕について

普通に使用していた設備が故障し修繕が必要になった場合、基本的に修繕費は貸主負担で行うものと定められています。

ただし、故意・過失による破損は借主負担となります。配管の詰まりに関してはその原因によって費用負担の割合が変わってきます。電球や蛍光灯、給水栓、排水栓の取り替えなど小規模な修繕に関しては、借主の負担にて行うよう定められています。

要するに普通の使い方をしている限り、借主は賃料以外のお金はほとんど取ることができないということです。借主は容易なことでは追い出されないよう借地借家法で守られ、それに加えて退去時の精算に関しては東京ルールで守られています。賃貸住宅を巡る紛争では借主側が「自分たちは弱者である」と声高に主張するのが常ですが、大変なのはむしろ貸主側です。不動産投資に乗り出す前にぜひこのことを知っておいてください。

この記事の著者

鶴間 正二郎

1965年生まれ。宅地建物取引士。自動車業界で7年、不動産で19年の実務ののちライターとして活動。経験者だからわかる不動産の深い話をテーマに記事を投稿しています。趣味は御朱印集め。柔道弐段。

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