【コラム】不動産投資 第二十八話「借主を追い出すのは難しい」鶴間正二郎

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鶴間 正二郎

1965年生まれ。宅地建物取引士。自動車業界で7年、不動産で19年の実務ののちライターとして活動。経験者だからわかる不動産の深い話をテーマに記事を投稿しています。趣味は御朱印集め。柔道弐段。

こんにちは、宅地建物取引士かつライターの鶴間正二郎です。不動産業界で19年間務めていたこともあり、裏も表も知り尽くしています。コラムでは、経験者だからわかる不動産の深い話をテーマとした記事を書いていきます。今回のテーマは、「借主を追い出すのは難しい」について。

■一旦入居した借主に出て行ってもらうのは「至難の業」

投資用物件に申し込みが入り契約を取り交わせばいよいよ収益が発生しますが、入居させた人がトラブルメーカーであれば出て行ってもらうことを考えなければなりません。契約書には「貸主側からの解約申し入れ」という事項が必ず記載されているものですが、実は話はそんな簡単なものではないのです。

◎解約の申し入れはこうなっている

契約期間中の解約については申し入れが借主側からのものか貸主側からのものかによって内容が異なってきます。

借主から貸主に対して解約を申し入れる場合、貸主は次の入居者を探す期間が必要であることから、契約書上では「1ヵ月前までの申し入れか賃料1ヵ月分の支払い」という条件がつけられている場合が通例です。(物件によっては2カ月という場合もある)

それに対して貸主側から解約を申し入れる場合、契約書上では「6カ月前までの申し入れ」があれば解約可能と書かれています。退去しなければならない借主が新たに家探しをする期間を考慮したものですが。借主が申し入れた場合の「1カ月」に比べるとかなり借主寄りの内容です。

それでは貸主は6カ月以上前に借主側に解約を申し入れれば退去してくれるかというと、話はそれほど簡単ではありません。

◎貸主からの解約には「正当事由」が必要

賃貸物件の取引において借主は借地借家法の定めにより保護されており、たとえ6カ月以上前に申し入れた場合であっても、解約には「正当な事由」が必要であり、これがなければ解約は出来ないとされています。

正当事由とは、貸主が借主に住居の明け渡しを求めることができる「一般社会の常識的な理由」を指しますが、具体的な中身について明確なガイドラインは示されておらず、最終的に正当事由が認められるかどうかは裁判をしてみないと何ともいえないようです。

はっきりとしているのは「1カ月や2カ月程度の賃料の滞納は正当事由には該当しない」ということだけです。

◎借主を追い出すのは難しい

当事者同士が対等の立場で交渉して合意事項をまとめたものが契約というものですが、不動産取引においては借主側が法律や条例で二重三重に保護を受けており、対等とはとても言えないのが現実の姿です。

賃貸物件をめぐる紛争が発生すると借主側は「自分たちは弱者である」と声高に主張するのが常ですが、実際はその真逆であるといっても良いと思っています。

筆者が賃貸物件の管理をしていた時にもカメラマンが「住居」として契約した部屋でアイドルの撮影会を開催していることが発覚したこということがあり、「すぐに追い出せ!」と家主に怒鳴り込まれて苦慮したことをはっきりと記憶しています。

本人を呼んで契約違反であることを説明し、こんこんと説得したところあっさりと退去を承諾してくれましたが、借地借家法の知識があればどうにでもごねることが可能であり危ないところでした。

◎貸し出す際は注意が必要

分譲マンションを賃貸に出すという場合、「転勤でしばらく住まなくなるため、帰ってくるまでの間貸し出したい」という事例がかなり多かったと思います。部屋は一度貸し出すと次に空くのがいつになるか誰にも分からず、転勤から帰ってくるタイミングで空いてくれる保証はありません。

部屋を賃貸に出す場合はそれなりの覚悟をもって取り掛かるようにしてください。

この記事の著者

鶴間 正二郎

1965年生まれ。宅地建物取引士。自動車業界で7年、不動産で19年の実務ののちライターとして活動。経験者だからわかる不動産の深い話をテーマに記事を投稿しています。趣味は御朱印集め。柔道弐段。

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