

鶴間 正二郎

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こんにちは、宅地建物取引士かつライターの鶴間正二郎です。不動産業界で19年間務めていたこともあり、裏も表も知り尽くしています。コラムでは、経験者だからわかる不動産の深い話をテーマとした記事を書いていきます。今回のテーマは、「入居審査」について。
目次
■契約の是非を判断する「入居審査」では何をしている?
投資用不動産を購入して物件化し、賃貸市場に出したら後は申し込みが入るのをひたすら待つしかありません。賃料設定が適正であればそれほど時間がかかることなく申し込みが入ってくると思いますが、その際には契約を結ぶことの是非について申込書の内容に基づいて判断しなければいけません。
◎本当に契約しても良いか判断する「入居審査」
賃貸物件に申し込みが入った場合、本当にこの人と契約を結んでいいのか検討しなければいけません。賃料の滞納や周辺住民とのトラブルなど、投資用不動産を運営する際は借主が様々なトラブルを引き起こすというリスクがありますが、申込内容を契約前に十分にチェックしてそういった可能性を最小限のものにしなければなりません。
そのため申込書の他に身分証、収入証明といった資料を提出してもらい、その内容を踏まえて契約の是非を判断しますが、この段階を「入居審査」と呼んでいます。
◎入居審査の際のチェックポイント
筆者が賃貸物件の契約事務に従事していた際、入居審査で重視したポイントをまとめてみます。
〇必要書類
申込書の他に身分証、収入証明というのが大半です。免許証や源泉徴収票、給与明細が該当しますが、住民票や印鑑証明の提出まで求める管理会社も中にはあります。
〇年収(仕事)
最も重視したポイントで、賃料一年分の三倍の年収というのが一つの目安です。貯金は使えば無くなってしまうものなのであくまで年収を重視しました。無職は対象外ですが、仕事が決まっているという場合は入社予定の会社から内定通知書を出してもらい、転職直後という場合は直近の給与明細から年収を推定します。
入居者が学生の場合、通常は親が借主となって更に連帯保証人をつけてもらいました。留学生の場合は大学が連帯保証人となってくれる場合があります。
〇連帯保証人
ある意味で最も重要であり、本人が多少怪しくても保証人の内容が良ければOKとしました。あくまで親族に限られ、友人や会社の上司というのは不可です。
〇保証会社
連帯保証人をたてるかわりに保証会社に保証料を払って肩代わりをしてもらう場合もあります。この場合保証会社の審査を通ればOKです。
◎どうしても高齢者には厳しくなる
現役世代と比べて高齢者は様々なリスクがあり、審査はどうしても厳しくせざるを得ませんでした。年金生活者の場合は賃料滞納の可能性が高くなり、また室内で万一のことがあれば大切なお部屋が「事故物件」となってしまいます。
そのためしっかりとした保証人が近所に住んでいる場合に限っていました。
◎実際はほとんど管理会社でやってくれる
実際にはこれらの業務は全て管理会社が行い、オーナーとしては「この申し込みは受けようと思うのですが」「断ろうと思うのですが」という管理会社からの報告に頷いていればいいので、それほど悩む必要はありません。
管理会社の立場としては大抵の場合「いい人を入れてくれてありがとう」と言ってもらえるのですが、自信をもって入居可と判断した借主がトラブルを起こしたバツの悪さは何とも言えません。