

鶴間 正二郎

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こんにちは、宅地建物取引士かつライターの鶴間正二郎です。不動産業界で19年間務めていたこともあり、裏も表も知り尽くしています。コラムでは、経験者だからわかる不動産の深い話をテーマとした記事を書いていきます。今回のテーマは、「宅建」について。
目次
■不動産取引に不可欠な「宅地建物取引士」とはどのような資格か?
今回は不動産取引をする上で欠かすことのできない資格である宅地建物取引士についてご説明します。長らく宅地建物取引主任者と呼ばれていた資格ですが、平成27年の法改正により現在の名称に変更になりました。「主任者」から「士業」になったことにより新たに義務が追加されています。
◎宅地建物取引士の仕事
宅建士の仕事としては契約時の重要事項の説明(重説)、重要事項説明書への記名押印、契約内容記載書への記名押印といった事項になりますが、この中では特に重要事項の説明が大切です。契約前に必ず実施しなければならないと法律で定められているのが重説ですが、これは宅建士が宅建士証を提示したうえで行なわなければならず、宅建を持っていない人は実施できないことになっています。
ちなみに筆者は契約直前に主任者証(当時)を自宅に置き忘れたことに気付き、急遽他の人に代わってもらったことが1回だけあります。
◎会社は一定数以上の宅建士を揃えなければならない
宅建業法により不動産会社は業務に従事する者5人に1人以上の割合で宅建士を置かねばならず、また事業所ごとに専任の宅建士を置かなければならないと定められています。契約業務は必ず宅建士が行わなければならないため、契約業務がたて込む繁忙期においては人のやりくりの問題もあって一人でも多くの社員が宅建を持っていることが会社にとっては重要になります。
そのため例年10月の第三日曜日に実施される試験が近づいてくると、未取得者は大変なプレッシャーに晒されることになります。
◎それほど難しくはないがどうしても合格できない人もいる
宅建は大まかに言うと権利関係、宅建業法、法令上の制限、税金他の4分野に関して50問(全て4択)出題されます。合格率は15%くらいなので一見厳しそうな試験に思えますが、きちんと勉強すれば35点前後と言われる合格点をクリアすることはそれほど難しいものではありません。
しかし抜群の営業力があり、営業成績が常に断トツであるにもかかわらず、どうしても試験に合格できないという人がどこの不動産会社でもいるものです。
◎「士業」になったことで責任が重くなった
筆者は東京で登録しているので、宅建士証は都知事の名前で交付されます。
最初に登録した時はまだ石原知事の時代で、2回目の更新は猪瀬新知事が誕生するタイミングに合わせて手続きを行ったにもかかわらずあっという間に辞任してしまい、後を継いだ舛添知事も任期を全うできずに辞任するという事態になります。そのため筆者の主任者証は長らく前々知事の名前のままでしたが、3回目の更新でようやく現職知事の名前に戻りました。
宅地建物取引主任者から宅地建物取引士という「士」業となったことにより、信用失墜行為の禁止、知識及び能力の維持向上などの義務が追加され、更新時の講習のテキストもこれまで3冊だったものが4冊となってそれだけ責任が重くなったことを痛感しています。