

鶴間 正二郎

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こんにちは、宅地建物取引士かつライターの鶴間正二郎です。不動産業界で19年間務めていたこともあり、裏も表も知り尽くしています。コラムでは、経験者だからわかる不動産の深い話をテーマとした記事を書いていきます。今回のテーマは、「総会議事録」について。
■実務経験者が語る「総会議事録に書いてあることと書いていないこと」
前回は管理組合総会について書いてみました。総会が終わってしばらくすると管理会社より「総会結果報告書」が送付されてきますが、その中には総会の議事録が必ず入っています。今回はこの「総会議事録」について書いてみます。自分が住んでいないとはいえ、資産価値の維持という点で総会は重要であり、議事録にも注意を払うようにしてください。
◎総会議事録とは
管理組合総会は「管理組合の最高議決機関」で、議事の経過及びその結果を記載したものが総会議事録です。
議事の経過とは、開会、議題、議案、討議の内容、表決方法、閉会等のことであり、経過の「要領」ということなので内容を逐一記載する必要はなく、要約して記載すれば足りるとされています。
◎議事録には何が書かれているのか
筆者の場合は大手と中小の2社でフロントを経験しましたが、議事録の書式についてはどちらもほぼ同じであり、恐らくほとんどの管理組合においても同様ではないかと思っています。
〇議事録に書かれていること
議事録の基本的な書式としては下記の通りとなります。
「第〇号議案」●●●●に関する件
議長の指名により管理会社担当者により総会議案書を用いて議案の説明が行われた。質疑応答の後、議長が本議案の可否を出席者に諮ったところ、賛成多数にて議案書の内容通り承認可決された。
工事の実施を承認する議案の場合は、実施の時期、金額、発注先、支払い方法等をこの後に明記し、また四分の三以上の賛成が必要な特別決議の場合は賛成、反対、保留のそれぞれの数を記入していました。
質疑応答があれば「質疑応答の要旨」として記入しますが、あくまで要旨であり、国会の議事録のような話し言葉をほぼそのまま文字に書き起こした体裁のものではありません。
〇議事録に書かれていないこと
議事録は完結明瞭であることが求められ、そのため既に議案書に書かれている事項については省略され、「議案書記載の通り」としか記入されません。
但し事業計画と予算に関しては議案書に添付されているのはあくまで「案」であるため、総会で承認された正式版の事業計画書と予算書を総会結果報告書に添付します。
質疑応答に関しては個人情報やプライバシーの保護の点で注意が必要になります。総会においてマンション内におけるトラブルに関する発言がなされた場合であっても、個人が特定されるような内容に関しては議事録には記載されません。
◎議事録は議案書とセットでないと意味がない
ネット上の記事では「議事録は情報の宝庫」「議事録はマンションの通信簿」「議事録を読めばマンション内の全てがわかる」などと過剰に取り上げられていますが、議事録だけ読んでも議案が承認されたことしか書かれていないのです。
重要な情報はむしろ議案書の方に記載されているため、総会議事録は常に議案書とセットで保管するようにしてください。