

鶴間 正二郎

最新記事 by 鶴間 正二郎 (全て見る)
こんにちは、宅地建物取引士かつライターの鶴間正二郎です。不動産業界で19年間務めていたこともあり、裏も表も知り尽くしています。コラムでは、経験者だからわかる不動産の深い話をテーマとした記事を書いていきます。今回のテーマは、「南向きか西向か?」について。
目次
■南向きにこだわらなければ物件探しの選択肢は広がる
今回は住戸の向きについてお話します。日本人は南向きが大好きですが、東向きや西向きにもメリットはあり、向きにこだわらなければ住まい選びの選択肢は随分と広がります。
◎日本人は南向きが大好きであることがデータからも判明
不動産取引の実務に長く従事した筆者の印象として日本人は南向きが大好きで、南向きの住宅が最も明るくて暖かいと考えているように思います。首都圏で過去10年に供給された物件を階数別・方位別にまとめたデータをみても南向きが東向き・西向きよりも人気が高く、また階数では上層階ほど人気という傾向がはっきりと示されていました。新築マンションの営業をしていた時代に「私は南向きしか検討しません」と断言する方に何回も出会いましたが、「南向きは明るくて暖かい」というイメージは果たして本当でしょうか。
◎南向きは実は暗くてひんやりとしている
南向きの住戸には太陽光がさんさんと降りそそぐというイメージがありますが、実際は少し違ってきます。太陽が南側にあるときは高い場所にあるため日が差し込みにくく、南向き住戸というのは意外と暗くて寒いのです。またリビングが南向きだと居室は北向きですが、こちらの部屋は日が当たることがありません。一方で西向き住戸の場合、午前中は居室側から日が入り、午後になるとリビング側が明るくなるので、一日を通じて室内のどこかに明るい場所があるのです。筆者は西向きと南向きを比べてみたことは何回もありますが、L字型のマンションで西向きの部屋から南向きの部屋に移動すると部屋が暗くひんやりとしたものを感じたものです。
◎東向きと西向のメリットとデメリット
意外と明るくて暖かいというのは東向き住戸についても言えます。東向き住戸にお住いの方に話を聞いたことがありますが、リビングに朝日が差し込んでくるというのはなかなかいいものだそうです。ただし午後になると洗濯物が乾かないとこぼしていました。明るくて暖かい西向きですが、デメリットといえばやはり夏の西日です、暑さが厳しい6月下旬から9月中旬までの3ヶ月は基本的に我慢するしかありません。西向の住戸では眺望が意外なメリットとなります。東京や神奈川の場合は西側に富士山があるため、冬になって空気が澄んでくるとバルコニーから素晴らしい眺望を楽しむことができたりします。
◎南向きにこだわらなければ選択肢は随分と広がる
南向きが必ずしも最高であるといえないことについてご理解いただけたのではないかと思います。東向きや西向きには南向きにないメリットがあり、価格の点では確実に安く手に入れることができます。南向きにこだわらなければ住まいの選択肢は随分と広がるのです。